親父

親父から手紙が来た
いつものように 忙しい文字
 働くときは
 自分の職業と云うことを理解して
うーん、難しいな
俺は毎日
いったい何をしているんだろう

親父と二人で
じっくり話をしたことがない
船乗りだったから
1年のうち半年以上
一緒に暮らしたことがない
親というより
一人の男としてみていた
俺の、親父

 家にいたときのおまえを考えると
 心配なことが多い
 母親を泣かすことのないように
 母親を泣かすことのないように
2人を苦しめてきた
そんなことを
家を離れ
22にして思う
情けない、今日この頃

しかし、こんな自分も
いずれ結婚して子どもが産まれる
そんなとき
やはり男として、親父として
同じ言葉を息子につぶやいてみたい
父親なんて
いまだにピンとこないけど
そんな時がきたら
やはり面と向かって言うより
忙しい文字で手紙をしたためて
息子に送り届けてみたい

親父
なんて素敵な響きなんだろう
だけど、やはり
面と向かっては話しづらい
それは
やはり
男として親父を見てるから
そんなことに
最近気づいた

…元気か?